不可能といわれた自然薯の栽培を実現した政田敏雄の物語
「昭和42年 自然薯栽培への挑戦が始まった」 しかし、この自然薯を手に入れるのは大変なこと。分け入った山にしか育たない自生の植物。ちょうど、松茸のようになかなか見つけることはできない。しかも、クネクネと曲がって生える長芋。掘り出すのが、これまた大変な苦労だった。 その自然薯をなんとかして栽培することはできないだろうか? もし、産地を作ることができれば、この栄養価の高い作物を、もっと手軽に食べられるようになるはずだ。 栽培は不可能と言われた自然薯栽培への挑戦が始まった。 | ![]() 故 政田敏雄氏 |
「昭和48年 山を歩き、実験を繰り返す日々」 そんな中、一つの発見をした。 山の土は、畑と違って、痩せていた。「そうだ、自然薯は、肥沃な土では育たないのかもしれない」。いくら種芋を畑で栽培しても、発芽に失敗する理由がそこにある。 しかし、畑の土質をそっくり、山と同じ環境にすることは、無理だ。気軽に栽培できる方法でなければ意味がない。 そこで、発明家の政田は、妙案を思いついた。自然薯の種芋を植える周りだけ、山の土で覆うために、芋の形に合ったパイプを作ってみた。それが、今や自然薯栽培には欠かせない用具「クレバーパイプ」の誕生だった。 畑に、パイプを持ち込み、その中には痩せた山の土を入れて、種芋を仕込み、育てる。順調に栽培が進むと思われた。が、しかし、パイプから出てきた自然薯は、細く、イビツな形をして、とても商品にはならなかった。 | ![]() ![]() |
「平成5年 山と同じ環境をつくる、もう一つの発明」 政田が着目したのは、雑草をよけるために使うマルチという黒いビニールシート。普通は畑をこのシートで覆うことによって、光を遮り、雑草を生えさせない。しかも、適度な湿度を保ち、地熱が冷めるのを防いでいた。 「そうだ、シートの表面を白にすれば、地熱を下げることができる。湿度も保つことができる」。 やがて、思い描いていた通りの自然薯が畑で収穫できるようになった。しかも、真っ直ぐに伸びて、太い。そんな立派な自然薯が、クレバーパイプを抜き出すだけで簡単に収穫できるようになった。 そして、今や、自然薯は畑で作られる作物となり、通信販売で簡単に買うことができるようになった。 また、栄養価の高い自然薯は、贈答品としても大変喜ばれている。 情報提供/政田自然農園(山口県柳井市柳井3889番地)
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